心の相談室-被災地からのメッセージ

無料電話相談「ハートケア」にかかってきた電話の中で、
ある方が、「だんだん私たち被災者のことは世間から忘れられていっている気がする。食べ物や住むところ、とりあえず一時的に生活できるようにはなったが、仕事やこらから先の移転先や将来のことがまだわからない中で、今こそ家族を失った悲しみや怒り、あせりが出てくる時なので、そのことを理解して黙って話しを聞いてくれるそのような場を提供してくれて、本当にありがたい。」といって下さり、かえって私たちの方が励まされました。

多くの場合、今の正直な気持ちを話すと、がんばれとかそんなことで悩んでいても仕方が無いとか、こうしたらいいとか、何となく自分のことを批判されているような、今の気持ちを否定されてしまうような気がして話せなくなってしまうことが多い、ただ評価も意見もなく、気持ちを受け止めて聞いてくれる人は少ないとのことでした。

私たちは、何とかその人の問題を解決してあげたいという思いが強いあまり、ただ話しを聞くというのは、無駄のような気がして、何か解決策とか提供するものが無くてはという思いに駆られます。ハートケアも初めて、もうすぐ1年になりますが、特に成果を見ることも少ないのでこれでいいのかなという思いもありました。

けれども、改めて、私たちにできることはただ、辛いところ、悲しみ、不安をかかえている人のそばに寄り添ってあげることなのだと思いました。
誰かが、自分の気持ちを理解してくれた、祈ってくれたということが、その人にとって問題に立ち向かっていく勇気、力になり、いやしにつながる、また、とりなした祈りは決して無駄ではないと信じて主にお任せするしかありません。
主が私たちに望んでおられることは、ただそれだけなのかも知れません。

「わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない」マタイ9:13